#耕す
就農インタビュー:農業はやってきたことが如実に表れるやりがいのある仕事
2021.03.19
黒川剛さん(51)下浜出身 黒川栄子さん(47)福岡県出身
安定したサラリーマン生活から心機一転、農業の道へ飛び込んだ黒川剛さん。「2人で楽しい農業」をモットーに、奥さんの栄子さんと2人、日夜新しいチャレンジを続けています。しかし、自然を相手にする農業は思い通りにいかないことだらけ。今までと全く異なる生活環境に戸惑いながら、それでも2人がやりがいを持って農業に向き合っていける理由とは…?
−−農業を始めたきっかけを教えてください。
−剛さん
サラリーマン生活を辞めて新しいことにチャレンジしてみたいと、10年前に農家へ転職しました。私たち夫婦はとても仲良しなので、2人で一緒に楽しくできる仕事がいいなと思ったんです。知り合いを見ていると、夫婦で農業をされている方々がとても楽しそうで。それで農業を選びました。
−−素敵な理由ですね! 農業の勉強はどこでされたんですか?
−剛さん
都農町には、都農ワインの自社農園で農業に関する技術指導を行い、ブドウの品質向上に貢献した「有機農業研究会(OFRA)」という団体があるんです。その方たちの農業に対する姿勢や作っている作物の品質の高さにとても感銘を受けて勉強会に参加しました。
−−どういった作物を作っているんですか?
−剛さん
スイートコーンをはじめ、キャベツ、白菜などさまざまです。基本は自分たちが食べたいと思う作物を作っていますが、生活できるだけの利益を出すにはそれだけではやっていけません。いろいろ育てている中でも、価格の変動が少なく、高い利益が見込めるスイートコーンは大きな収入源になっています。都農町と隣の川南町を管轄するJA尾鈴のスイートコーンは、品質の高さから市場で高く評価されているんですよ。

栄子さん
近年のスイートコーンは昔と比べて品種改良が進み、生で食べてもとても甘いんです。

農業をやっていて一番喜びを感じることはなんですか?
−剛さん
やはり良い作物が出来た時ですね。スイートコーンの場合、出来が良いと収穫して作業場に持っていった時に、ふわっと甘いモモのような香りがするんです。逆に、香りがしない時は、手の掛け方が足りなかったかなぁと反省します。出来上がった作物はうそをつかないですからね。
それから、私たちの師匠でもあるOFRAの幹部の皆さんに、作った作物が認められた時ですね。収穫した野菜を持っていって評価してもらうのですが、本当に厳しいんですよ…。評価をもらうまで怖くて目を見られません(笑)。

栄子さん
出来が悪くて、持っていくことすらできない時もありました。でも、それだけ認められた時は本当にうれしいですね。
それでは、一番苦労したことはなんでしょうか?
−剛さん
会社勤めだと、一定の仕事をしていれば毎月給料がもらえますが、農業の場合は収穫して良いものが出来たと喜んでいても、いざ出荷してみれば野菜の値段が箱代以下ということも。子どもがまだ小さかったので最初はショックでしたね。利益を上げるためには、同じ作物がまだ市場に出回っていない時期に出荷できるように育てたり、天候や自然災害、獣害などの対策をしっかりしたり、常に努力が必要です。

−−時間の使い方も変わりそうですね。プライベートな時間はありますか?

−剛さん
そうですね。朝型の生活になりました。特にスイートコーンの時期は、糖度が一番乗っている夜明け前に収穫しないといけないので、朝というより夜中から作業をしていますね。その他、育てている作物によって作業時間が異なりますが、生活リズムがバラバラだと体調を崩してしまうので、毎日朝4時には起きるようにしています。

栄子さん
時間は作り方次第なので、そこまで縛られているというわけではないですよ。家族で出掛けたい時には、その日の作業を早く終わらせるために子どもが手伝ってくれることもあります。

剛さん
仕事中も夫婦2人なのでプライベートのようなものです。くだらない夫婦漫才を繰り広げながら作業しています。

栄子さん
モノマネしたり歌を歌ったりね。

剛さん
でも手を動かさないと怒られます(笑)。忙しい中でも楽しみを見つけながらやっているので、仕事自体が苦痛と感じることはないですね。
楽しく作業されている様子が目に浮かびます♪ では、都農町は新しく農業を始める人にとってどのような環境でしょうか?
−剛さん
行政関係でいうと、市レベルの補助金制度がたくさんあるし、JA尾鈴も全国に名だたる農協で、新規就農者への支援や研修を行っています。私たちも、OFRAという団体が都農町にあったからやってこれましたし、農業を始めるには良い環境だと思います。ただ、漠然と農業がやりたいというだけでは厳しい世界です。「これが作りたい」という明確な目標と熱意を持って取り組まないとなかなか続けられませんね。
今後の目標を教えてください。
−剛さん
私はJA尾鈴のスイートコーン部会の役員をしているのですが、露地野菜部門としては最大の70名が所属しているんです。ですが、その半数以上は川南町の農家さん。栽培面積でいうともっと差があります。ブドウやトマトのように、スイートコーンも都農町の特産品ですと言えるようになるためにも、他の農家さんたちと協力して、今よりもっと栽培面積を増やし、生産量を上げていきたいですね。
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