#耕す
就農インタビュー:ミニトマト栽培のルーツはレゲエ
2021.12.27
黒木新悟さん(36)都農町出身
「何を栽培していくか」というのは、就農する方々にとって最初の問いかと思います。栽培のしやすさ、広めたい野菜だから、特産物だから、利益回収率が良い…考え方は人それぞれ。都農町の黒木新悟さんはミニトマト農家「Tomato Label(トマトレーベル)」を営んでいますが、ミニトマト栽培をはじめた理由は「レゲエ」が好きだから。突拍子もない理由にも聞こえますが、そこには黒木さんの哲学がありました。
−−ミニトマト農家として独立される経緯を教えてください
高校卒業後は20代のはじめまで、大阪でお肉の配達の仕事に就いていました。都農町へ帰郷してからは農業をしている両親のもとで働き、24歳で独立しました。26歳で現在の「Tomato Label」を立ち上げたのですが、ミニトマト栽培と屋号を決めるきっかけになったのがレゲエ。僕、レゲエが高校生のころから大好きで、それにちなんだ野菜をつくりたいなと。レゲエ文化ってラスタカラーという緑・黄色・赤の象徴的な色づかいがあるのですが、まさにトマトはその色になっていくじゃないかと(笑)!
−−レゲエがトマト栽培のルーツだなんて!
レゲエと農業って関係ないように見えますけれど、いつになっても現役で活動していたり、曲がずっと残っている人たちは良いものをつくっていますし、経営が上手いという見方もできるので勉強になるんです。いろんなレゲエミュージシャンを聞いてきましたが、やっぱりボブ・マーリーがすべてのルーツにありますね。歌詞を聞いて頑張ろう! と思えますし、「根っこが強いと果実も甘い」という彼の言葉はミニトマト栽培にも通じるなと思います。彼の詩集を15年以上愛読してますよ、すごく元気になる(笑)
−−ちょうど根っこの話が出てきましたが、トマトの土耕栽培にこだわっているとか
おいしさって土づくりが基本にあるなと考えてまして。試行錯誤するなかで、土と水の量を制限しつつ有機肥料を与える今のやり方に行き着きました。水量を制限すると、水が吸えない分トマトの力が育っていくんですよ。強くて大きい根っこが生えて、果実もぎゅっと締まっておいしくなる。ずっと水を与えていたら自分の力で生きようとしませんから。微生物だったり目に見えない部分に可能性があるのではないかと思っているところもあって、今はこのやり方を追求し続けたいですね。
−−そのさじ加減を見極めるのは大変ではないですか?
もうほんとに大変ですよ。就農して12年目ですがなんとか。最初は実さえつかなかった。たまたま管理が行き届いてなかった苗にすごく甘い実がなったことがヒントになって、少しずつ水や肥料の量を変えたりして今に至ります。今は甘さにも違いを出した品種をつくるようにしていて、糖度10度以上で生食がおすすめの「ニーゴ」、糖度8〜9度で加熱料理やソースに向いている「ベル」の2品種を主力として出荷しています。
−−ミニトマトの主な販売先は?
道の駅つの、ふるさと納税、宮崎県内のスーパー、宮崎空港、オンラインストアで販売しています。首都圏の方からの反応がいいですね。みんな「こんなの食べたことない! おいしい!」といってくれてリピートしてくれています。その方々が新規のお客様を紹介してくれたり嬉しい連鎖がありますね。宮崎市内の人気ラーメン店や和風パスタのお店でも、夏になると僕のベルを使ったメニューを提供していますよ。
−−就農を考えている方々へアドバイスをお願いいたします
まず国や自治体の制度は確実に使ったほうがいいですね。それから都農町は農家が多いので、自分のやりたいと思う作物を育てている農家さんで1〜2年修行して、基本を身につけてから独立するといいと思います。そのときに、自分は農家としてどうなりたいかを持っているといいですね。農家が多いぶんライバルも多いですから。あとはメンタルですね。自然はほんとに理不尽だから(笑)僕は参ったなあと思ったときレゲエに助けられていますから、そういう心の支えになるものもあるといいですね。
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