#耕す
就農インタビュー:誰かのドラマを演出するスイートピー
2021.04.27
細野啓志郎さん(33)川南町出身
都農町篠別府でスイートピー農家「Garden Works」を営む細野啓志郎さん。平成29年には「尾鈴の花品評会」で金賞を受賞されています。農業の傍らアート活動もしていて作業場には描かれた作品が目に入ります。「スイートピーは色彩豊かでアートしやすいんです」と語る細野さん。就農の裏側をお聞きしました。
ーースイートピー農家になる経緯を教えてください
スイートピー農家の前は養豚企業に勤めていました。職場の方々にも恵まれて楽しく過ごしていたのですが、両親が体調を崩しまして。それを機に辞めて実家のスイートピー栽培を手伝うようになったんです。最初は継ごうとは思っていませんでした。それにデザインの道に行きたいなと考えていたくらいです。しかし、気づいたら自分が表に立つことが多くなり、なにより楽しかったんですよ。いつの間にかスイートピーの世界に夢中になっていました。
ーーそんなスイートピーの魅力ってなんだと思いますか?
色のバリエーションが多いことですね。自然色でも上品で綺麗な色を咲かせますし、オリジナルの色にも染めることができるんですよ。気分に合わせて花を選ぶことも、逆に気分を上げるために鮮やかな色を選んで買ってみたり。そんな遊びが多いところが魅力ですよね。スイートピーってお手ごろな価格で買えますし、日持ちしやすいところもお客様にとっては魅力的なポイントだと思います。
ーー栽培ではどのようなことにこだわっていますか?
栽培方法ではないのですが、どんな人が買って、どんな状況で使われるのかをよく考えます。たとえば、作業場で選別されたものが遠く東京へ運ばれて、お花屋さんで「今日はお父さんの誕生日だからスイートピーを買って帰ろう」っていうストーリーが展開されるとする。そう思うとワクワクしますよね。実際にそんなドラマがどこかで起きているんですよ。だから、愛情や想いはちゃんと持って育てていたいですね。
ーー育てるうえで大変なことも多いと思いますが
天候に左右されやすいところですね。雨が3日続いたりすると花が落ちてしまいますから。ベテランの農家さんはそれを補う技術や発想に優れている方が多いので勉強になります。ただ、最近は温暖化の影響でベテランの方でも悩ましい天気が多くなっていますね。
ーーデザインの道に進みたかったとおっしゃっていましたが、アートやデザインにも興味があるんですね
そうなんですよ! 親戚の影響で街の裏路地的な文化や音楽にどっぷりと浸かって育ちましたから。中学生のときなんてMTVに釘づけでしたし。10代から20代にかけてよく宮崎市内の街中で遊んで、たくさん刺激を浴びました。
ーーご自身でもアート作品を描かれていますよね
何も考えず好きな音楽を聴いて、今の思いを落とし込むといいますか。ひたすら無心で描き続けます(笑)。売ればいいのに! といってもらえることもありますが、仕事として描くよりも「落書き」として描いていたいんです。
ーー最後に、就農を考えている方へアドバイスなどいただけますか?
まず農業は簡単ではないと思います。これからの時代は「つくる」だけでなく「売る」ことも重要になってくる。企業が自社をブランディングするように、農家も見せ方や売り方を考えていかなければならない。ほかには天候だけでなく温暖化など環境の変化にも大きく影響されますし、自然には勝てませんから、心臓が3つくらいあった方がいいですよ(笑)。それでも、自分でやりたいことが多い人にとっては楽しいはずです。夫婦で一緒に農業をするのもいいと思いますよ。大きく儲けることを考えなければ子どもとの時間もつくれますから。困難はありますが自分で自由に決められることが農業の魅力だと思います。
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