#耕す
就農インタビュー:子どもとのコミュニケーションにも、教育にもなる農業
2021.04.01
河野愛さん(47)牧内出身
家事や育児をこなしながら、自分のできる範囲で無理なく農業に取り組んでいる河野愛さん。ご主人も数年前に脱サラをして本格的に牛を育てており、夫婦それぞれのフィールドで農業に携わっています。農業は子育てをする上でもさまざまなメリットがあるようで…。
−−農業をはじめる前は何をされていたんですか?
−進学を機に東京へ出て、音楽事務所のカメラマンとしてずっと働いていました。そのころは農業をするなんて全く考えてなかったけど、30歳を過ぎたころからだんだん地元が恋しくなってきて。親からも戻ってきたら?と言われていたので都農に戻りました。実家が牛の繁殖農家だったので、戻ってしばらくは手伝いをしていましたね。

−−農業と全く縁がなかったわけではなかったんですね。
−そうですね。その関係で、農協で家畜人工授精師として働いていた主人と縁あって結婚しました。主人の実家では両親が牛と大玉トマトを育てていたのですが、ちょうど一緒に住みはじめたときに口蹄疫が発生して。牛が殺処分されていく状況を近くで見ていたら畜産はちょっとつらいなと。主人の両親が畑の規模を縮小するということだったので、自分は空いた畑を借りて野菜を育ててみようかなと思いはじめました。
−−農業をはじめてみてどうでしたか?
−はじめは失敗ばかりでしたよ。子どもが熱を出して数日畑に入らなかっただけでえらいことになっていて。摘心の時期を過ぎて葉や茎が伸び放題だし、虫は湧いてるし「もう無理だー」ってすぐ諦めていました(笑)。でも、主人の両親が「まだ大丈夫やが」と手伝ってくれてなんとか出荷までこぎつけて。それを見てたらじゃあもう一回頑張ってみようかなぁと。現金ですよね(笑)。
−−でもそのおかげで続けてこれたんですね!
−ありがたいですよね。必要な資材なども全て主人の両親が使っていたものをもらえたので、初期投資も少なくはじめられましたから。とても環境に恵まれていました。栽培も最近ようやく軌道に乗りはじめましたね。ゴーヤ、ホウレン草、玉ネギ、ジャガイモなどいろいろつくったけど、ここ数年はキュウリに落ち着きました。大きい規模のキュウリ農家さんは、暖房を入れて冬の間に育てるんですけど、燃料代がかかるので私は夏につくっています。子どもが夏休み中は時間もありますからね。夏はキュウリの需要が高いですから、台風シーズンを乗り切って出荷できれば高値で売ることができるんです。
−−小規模だからできることもあるんですね。つくった野菜はどういうところに出荷しているんですか?
−収穫量が多くないので、ほぼ町内の直売所に出荷しています。直売所の出荷者さんの中には、私みたいに自分でまかなえる範囲で農業をしている同世代のお母さんたちが結構多くて。売れ残りや余った野菜を交換し合っているので、野菜はほとんど買わなくてすむんですよ。
−−JA主体の組織「フレッシュミズ」にも所属していると聞きましたが、どういうことをしているんですか?
−JA女性部の中でも若い世代で構成された組織で、食や暮らしに関することや趣味に関することなど、いろいろな活動を通して交流を深めています。子どもたちを集めて料理教室を開いたり、みそづくりや梅干しづくりをしたり、部活みたいで楽しいですよ。
−−最後に、農業をやっててよかったと思うことを教えてください。
−自分で計画を立てて作業できるので、時間を作りやすいのは助かります。子どもの行事や病気のときでもすぐに休めますからね。3人の子どももみんな小学生になってお手伝いできるようになったので、かなり当てにしています(笑)。きちんと報酬を払って、「これだけ頑張って働けばこれだけお金がもらえるんだよ」と教えてあげられるのは将来的にもいい経験かなと。子どもと過ごす時間にもなりますし、ワイワイしながら一緒に作業するのは楽しいですね。
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