#耕す
就農インタビュー:おいしいイチゴの秘訣は徹底した栽培管理
2021.03.29
村田哲さん(49)福岡県出身
都農町にて村田農園を営む村田哲さん。村田さんはイチゴの生産を行っています。村田さんのイチゴは高い評価を得ており、生協にて販売されている「村田さんちのさがほのか」は人気商品となっています。しかし、就農される前はまったく畑違いのお仕事をされていました。村田さんが農業をするに至った経緯とは。そして、どのような思いでイチゴ栽培をされているのでしょうか。
ーー都農町へ移住されたきっかけとはなんだったのでしょうか?
私はもともと福岡県の出身なんですが社会人のスタートを切ったのが実は宮崎なんですよ。メーカーに就職して最初に配属されたのが宮崎だったんです。それから全国転勤を繰り返していたのですが、地に根を張って生きていきたいと思いまして農業をはじめることにしました。宮崎は日照時間が長く、晴天日も雨も、ともに多いので農業をするには最適な土地ではないかと思いまして。あと、都農町の評判が非常に良くて興味を持っていたんです。町長さんが農業に熱心な方で、町の支援も受けることができ、都農の気質も個人的にはよく合うため、毎日楽しく生活できています。
ーーイチゴの栽培をはじめようと思われたきっかけは?
就農するにあたって高鍋町にある宮崎県立農業大学校に通っていたのですが、そこで栽培する品目を考える機会があったんです。私、農業は未経験なんですよ。幼稚園のときに芋掘りしかしたことがない。良くも悪くも農業経験者ではないので、技術的につくるのが難しくチャレンジしがいがあると考えイチゴを選んだんです。宮崎の主要4品目として、きゅうり・トマト・ピーマン・イチゴがあるのですが、そのなかでつくるのが難しく生産者のレベルが如実に表れ、環境負荷が大きい燃料を一番使わない作物がイチゴだったんです。それで選びました。
ーーイチゴ栽培ではどのようなことにこだわっていますか?
「高設」という栽培方法をとっています。土耕栽培と違い私のところの高設はイチゴがぶら下がっているので、日が均等に当たって色が均一に赤くなるんです。水が溜まってイチゴの裏面がふやけることもありません。そして、私が栽培でとくにこだわっているのは「管理」の部分です。すごくいい材料を使っているから品質が良くなるわけではありません。温度や肥料の濃度とか、そういうものを細かく管理しています。人と一緒で適切な量を摂取する、というのが大切になります。人だって、すごく高価なものをいっぱい食べるからって健康になるわけではないですよね。腹八分目が大事ですよ。
ーー何か特別なことするわけではなく、生育環境を大切にされていると
そうです。ちゃんと手入れをして、光がくるように、通気性が良くなるようにしてあげると病気や虫が付きにくい。葉っぱの色など深く観察しながら肥料の量などを調整したり。肥料が多すぎると病気や虫がついてしまうんです。
ーー評価が高い理由はそれだけではないと思いますが
お客さんが喜んでくださることが一番なので、うちのイチゴを買って良かったなって思っていただきたいんです。落ち込んでいてもイチゴを食べたことで、明日も頑張ろうと思えていただけたら。そのために、やらないといけないことを地道にやるだけで。パックづめ一つとっても大事。真冬の寒いときでもイチゴが痛まないように暖房をつけずにパックづめをしたりと。よくイチゴって日持ちしないって言われるんですが、うちのイチゴは管理を徹底することで、すごく日持ちするんですよ。
ーー農業をはじめたいと考えている方は多いと思うのですが、村田さんの考える農業に向いている人とは?
地道に作物や栽培環境を観察できる人、普段から勉強を嫌がらない人、今日と違うことを明日する人ではないでしょうか。たとえば、風が強い日はハウス内ではイチゴどうしがぶつかって痛んでしまう。それならハウスを閉めればいいじゃんって話ですが、閉めるとハウス内の温度が30℃〜40℃にもなりイチゴの実に悪影響を与えてしまう。だからほんの少しだけ開けて換気扇を回して風通しを良くしたりとか、そういうマニュアルにはない創意工夫が必要になります。そんななかでやはり農業は天災が多いので、被害が出てしまったときにもめげないメンタルも必要ですね。
ーーそのほか都農町や地方に対して村田さんが思うことはありますか
地方は働く場所が少ないので、私自身もそいうところを解決したいと思っています。だから、農業の規模を拡大して給料もきちんと出せるようにして故郷に帰りたいと思っている人たちが帰れるようにしたい。仕事があれば地方にいたい、行きたいという声は多いんです。私はサラリーマン時代にいろんな経験をしてきましたが、農業って人間らしい生活ができますよ。
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