#仕事#暮らしのこと
都農町から広がる刺繍文化の発信地
2021.01.29
今までの生活が一変し、日々状況が変わるなかで戸惑いながら過ごしている今日。何かと制限が増えてしまった毎日に、それでも豊かさを取り入れたいと思っている人も多いのではないでしょうか。
今回は真っさらな生地を鮮やかに彩っていくように、私たちの生活にも彩りを与えてくれる刺繍屋さんをご紹介します。
40年間で生み出された商品の数々
1980年に創業以来、オーダーメイドワッペンや記念刺繍額作成、命名額など数えきれないほどの商品をつくってきた「日幸刺繍」。代表の日高武幸(ひだかたけゆき)さんに、製作についてお話を聞きました。
「最初は今みたいなワッペンづくりじゃなくて、洋服のワンポイントマークを刺繍していました。そのあと新しいミシンや機械を導入して、20年前からちょっとずつワッペンやエンブレムの製作をはじめました」。
店内には過去に製作されたさまざまな商品が飾ってあります。商品を見ていると、自衛隊に関連したデザインのワッペンが多いことに気づきました。昔は航空自衛隊に所属するパイロットが階級や所属する航空隊を識別するためにつけていました。現在では新田原基地航空祭など自衛隊基地で開催されるイベントで商品として販売されています。かつて使われていた実際のワッペンが日幸刺繍でしか売っていないことが多く、大阪からわざわざ買いにくるほどのファンもいるほどです。
他にも豪華な金色の刺繍に、縁起の良い鶴と亀が描かれた美しい命名額も見せてくれました。お孫さんが生まれるたびにリピートしてくれるお客さんもいるロングセラー商品で、2015年からは都農町のふるさと納税の返礼品として納税者のもとに届けられています。
あらゆるデザインを再現する技術と努力
普段商品を製作している作業場に案内してもらいました。ちょうどワッペンがつくられている最中で、高速で動くミシンがリズミカルな音を刻んでいます。このワッペンはお客さんからデザインデータを受け取って、刺繍用データに編集します。編集したデータをミシンのコンピューターに読み込ませて刺繍がはじまります。
「刺繍していくと、生地が縮んでしまう部分が出てきます。生地がだいたいこれくらい縮むだろうということを計算に入れて思い通りのデザインにしていきます。このデザインでいうと、4色の糸を使って重ねていきたいけど、一番目立ってほしい文字の土台に糸を重ねすぎると盛り上がってしまい綺麗に仕上がりません。なので最近は、染める(プリントする)部分をつくって、刺繍とプリントを組み合わせてつくるようにしています」
複雑なデザインの商品でも再現する、高い刺繍技術の秘訣を垣間見ることができました。
町のいたるところで光る刺繍の技術
週末は釣りやゴルフ、ツーリングを仲間と楽しんでいるという日高さん。
知り合いのぶどう農家さんがツーリングのチームを結成したときには日高さんに仕事の依頼が入りました。「チームオリジナルのジャンバーをなにか考えてくれないかとか言われたりしまして。飲んでいる席なんかでですよ」
また都農神社の祭りで使う法被(はっぴ)を製作したこともあるそう。白地に、都農町の地名にちなんだ北町の「北」や新町の「新」が背中に大きくプリントされており、太鼓台を担ぐ人たちがこの法被を着るといいます。祭りは毎年大変な盛り上がりをみせて、その法被をつくることに誇りを感じたといいます。
地域と関わりを深く持ちながら、さまざまな場面で日幸刺繍の技術が光っていました。
刺繍の楽しさをたくさんの人に広めたい
日幸刺繍では、誰でも参加できるワークショップを開いています。日高さんの奥様が考案されたくるみボタンのマグネットを見せてもらいました。布を張ったピンポン球くらいの大きさのボタンに好きな文字を刺繍することができます。マグネットはどの家庭でも使いやすく、生活に取り入れやすいアイテムです。
ほかにも描いたイラストがその場で刺繍になる、世界で一つだけのバッグを製作できるワークショップがありました。お子さんが描いた絵でも刺繍できるので、家族一緒に楽しめます。マイバッグが推奨されるようになった今、オリジナルのバッグを持ち歩けば、毎日楽しく買い物できそうです。
「対面のワークショップはこれから情勢的に難しくなりますが、落ち着いたらまたやりたいと思っています。こういう活動を通して刺繍の楽しさが広まるといいですね」と笑顔で語る日高さん。頭の中では新しい刺繍の可能性が無限に広がっているようでした。暮らしにワンポイント彩りを添える刺繍をぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。

[DATE]
【所 在 地】児湯郡都農町大字川北4780番地
【電話番号】0983-21-2577
営業時間:9:00~18:00
日曜日定休日

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