#食べる
都農を思い出す名前と味。町内外で愛される老舗和洋菓子店
2022.02.26
都農町にお住まいの方からいただいた手土産がきっかけで、「一の宮」という名前のお菓子を知りました。しっとりとしたスポンジ生地に白あんとクリームが入っている和洋折衷なおいしいお菓子です。SNSで紹介したところ「私もそのお菓子、好きです! お店のほかのお菓子も食べて欲しいです」という反応が返ってきました。
この「一の宮」を製造・販売しているのは「きくや菓子舗」という和洋菓子店さん。都農町で昭和から続く老舗のお菓子屋さんです。一の宮と名づけた理由や、ほかのお菓子のラインナップも気になるのでお話をうかがってきました。
つくっている本人にしかわからない勘
写真・中村豪さん
店舗にうかがうと、二代目の中村克也さん、三代目の中村豪さん、豪さんの妹である黒木さやかさんが出迎えてくださいました。ご家族で代々お店を経営されています。
1950年(昭和25年)から開業したきくや菓子舗で現在、メインでお菓子をつくっているのが豪さん。豪さんは製菓学校や鹿児島のお店で菓子職人として修行し、23才ごろに都農町に戻ってきました。妹のさやかさんは地元に残り、家業を手伝い続けました。今はご兄妹で力を合わせて、きくや菓子舗を支えています。

味を受け継ぐためにどのような努力をされましたか? という質問に、豪さんは「言葉だけ、口頭だけじゃどうしてもむずかしい。材料の配合をグラムで量ることはできますが、そのあいだの工程はつくっている姿を見て学ぶしかない。見て、今度は自分でやってみて、違ったらまた見て……の繰り返しでした。自分でつくって食べてみておいしいと感じたとき、たとえば生地の口当たりなどの部分なんですが、味を受け継げたんじゃないかなと思うことはあります」と優しく答えてくれました。
その話を聞いていた克也さんがふとこぼした「本人しかわからない、職人の勘がある」という言葉がとても印象的。

季節によっても菓子づくりの工程が異なるので、とにかくやってみなければわからない。百聞は一見にしかずで、先代の姿から学び続けてきた豪さんが、今こうして味を受け継いでいるのです。
お菓子の名前に込めた思い
きくや菓子舗さんの商品は、都農町ならではのネーミングのものが多いんです。
たとえば「都農駅」というお菓子は、パッケージのラベルが切符のデザインになっています。こちらは実際に都農駅で販売されています。また、ひと口で食べられる可愛らしいサイズのようかん「都矢姫(とやひめ)」は、都農で育てられている寒蘭の名前から。そして「一の宮」はもちろん、宮崎県で一番格式の高い都農神社の「日向国一之宮(ひゅうがのくにいちのみや)」が由来です。

町の特産や名所をお菓子の名前にした意図について尋ねると、克也さんが「お菓子を見て『ああ都農だ』と思ってもらいたい。県外に行った人でも懐かしがってくれるでしょう。そういったお菓子があった方がいいんじゃないかと思ってね」という、都農への郷土愛溢れる理由を教えてくれました。

そんなラインナップの中でも一の宮は大人気。40年の歴史を持つこの和洋菓子は、町外へ口コミが広がっています。

「先日も町外のお客様が一の宮を買いにいらっしゃったのですが、ご自宅用と、誰かに渡すための手土産用にと買ってくださったんです。わざわざお菓子を買うために都農まで来ました、とおっしゃっていたのが本当に嬉しかったですね」。

さやかさんのいう通り、私自身も口コミでお店を知った一人。オンライン販売などはしていないというきくや菓子舗さんですが、インターネット上に情報がなくても評判が伝わってお客さんが来店するのは、やはりお菓子自体のクオリティが高いからなのではないでしょうか。
味を受け継ぎながら新しいチャレンジを
まるでブランデーを飲んでいるような濃厚さ。きくや菓子舗さんで人気上昇中のブランデーケーキを試食させてもらったのですが、なめらかな生地にブランデーが染みこんでいて、絶品の大人のデザートでした。昔も販売したそうなのですが短期間で終わってしまったところを、常に安定して販売できるように豪さんが改良し商品化したのだとか。

また、キャラクターケーキをつくって欲しいというお客さんの声から、豪さんが製作をスタート。今までのケーキを記録した写真を拝見したところ、どれもイラストが上手で完成度が高い。しかし豪さんは絵の勉強を特別されていたわけではありません。

「ぜんぶ自己流、独学ですね。チョコペンで描くので時間がかかってしまうけど……子どもが喜んでいたとお客様から伝えられたときに、一生懸命描いて良かったなあと思う。もったいないから食べたくない! とお子さんがいうこともあるそうなので、キャラクターはチョコレートに描いて、外してケーキだけ食べられるようにしています」。

新しいチャレンジを怠らない豪さんは、商品開発にも力を注いでいます。フルーツを使った商品や、ご自身がお好きだというチョコレートを使ったお菓子の試作を重ねているとのことで、これからどんなお菓子が生まれるのかとても楽しみです。

【きくや菓子舗】
〒889-1201
宮崎県児湯郡都農町大字川北4939
TEL : 0983-25-0127
都農町の移住に関するお問い合わせはこちらへどうぞ。
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