#食べる
死ぬまでラーメンに携わっていたい
2021.11.28
老若男女問わず多くの人から親しまれるラーメン。
豚骨文化が根強い九州で本格的な醤油ラーメンを味わえるお店が宮崎県の都農町にあります。
がっしりとした腕がかっこいい店主と笑顔の素敵な奥さん。チームワークバッチリな夫婦が経営するラーメン屋さんにお邪魔しました。
「自家製麺 縁らぁめん」に込められた想い
都農町の中心地からは少し離れた場所にお店をかまえる「自家製麺縁らぁめん」。平日の昼間だというのにお店は満席です。
お店を営んでいるのは都農町出身の塩月俊次さん・久美さんご夫婦。
関東のラーメン屋さんで経験を積み、2004年に地元都農町でお店をオープンさせました。
「『縁 えん』という文字を屋号に入れたのは原点回帰の意味があります。ここができたのはいろんな人のおかげ、いろんなご縁があってできたというのを一生忘れないためです」。
職人になる前は建設系の会社で営業職をしていたという俊次さん。
ラーメン屋の社長から誘われラーメンの世界に入り、たくさんの方に出会い助けられてきました。
写真:支那そば醤油(味玉トッピング)970円
縁らぁめんの看板メニューで、人気No1の「支那そば醤油」。
「支那そば」とはラーメンの古い呼び方で、関東地方ではあっさりした醤油系のラーメンを支那そばと呼ぶ方が多いようです。
俊次さんは関東にいたころ、はじめて食べた支那そばのおいしさに衝撃を受けます。
「その味に感動しました。自分が知っているラーメンとは別物で…。だからメニューにはあえてラーメンと書かず『支那そば』としました」。
ラーメン=豚骨!といっても過言ではない地域で、醤油ラーメンで勝負することは賭けのようなものだったと振り返ります。
オープン当初は「普通のラーメンはどれですか?」とよく聞かれ、豚骨ラーメンがないと知ると帰ってしまう人もいたそう。
それでも、コツコツと自分の信じたラーメンをつくり続けた結果、リピーターが増えるようになり、県内外からお客さんが足を運ぶ有名店となりました。
いちばんのこだわりは「後味」
化学調味料を一切使用せず、麺やスープ、具材、なんとお箸にまでこだわりをもってつくられるラーメン。
実は無添加での味づくりは、健康のためにはじめたわけではないといいます。
「味づくりをするなかで、余計なものを使わないほうがおいしいというところにたどり着きました。素材のおいしさを突き詰めたくなったんです」。
職人気質の俊次さん。素材を最大限に生かし、納得のいく味をつくるための苦労や手間ひまは並大抵ではありませんでした。
すべて手づくりにこだわり、仕込みは早朝4時、5時からすることも。
「独立は最初で最後。どうせやるなら、とことんやりきりたいと思いました。うまくいかなかったときに諦めがつくし、自分に言い訳をしたくなかったんです」。
いちばんのこだわりは「後味」。
「そこに全部集約されます。食べたあとに『あぁ〜また食べにきたいな〜』と思ってもらえるように…」。
運ばれて来たラーメンのスープを口に入れた瞬間、身体にすぅ〜と染み渡っていく感覚がありました。
あっさりとしながらも素材の魅力が凝縮されていて、スープと麺、具材の相性も抜群。ラーメンを食べたあとの、独特な胃もたれや喉の渇きがなくすっきりとした後味で、本当にまた食べたくなる、そんな一杯でした。
死ぬまでラーメンに携わっていたい
創業から早17年。夫婦、二人三脚で歩んできました。
「夫婦というより、最高の仕事仲間です。ずっと一緒ですが喧嘩はしません。奥さんがホールをうまくまわしてくれているおかげで私はラーメン作りに専念することができます。私が偉そうなこと言えません(笑)」。
お客さんでいっぱいの店内。その状況下で繰り広げる二人のチームワークはまさにリズミカルな餅つきのようでした。
若いころは、外への店舗展開や還暦あたりで店仕舞を考えていたという俊次さん。
「今のスタイルとは変わるかもしれないけど、都農町で死ぬまでラーメンに携わっていきたいと思うようになりました」。
80歳まで現役を続けるためにはどうすればいいか2人で考えるようになったといいます。
「日曜定休や営業をお昼に限定しているのも、これからもずっと続けていくため。お客さんのことを思うと日曜日や夜の時間もやりたいんですけどね、そうするとどっちかが倒れるじゃないかと思って…」。
俊次さんは仕事のかたわら、スポーツ少年団で柔道の指導もしています。立派な腕の正体は柔道で培われたものでした。
「わたしも子ども達と一緒に動いて身体作りをしています。時間を作って練習に行かないといけないので、生活にもメリハリが出るし健康管理にもつながっています」。
ラーメン作りも柔道も長く続けていきたいと意気込みを語ってくれました。
みんなから愛される「縁らぁめん」には今日もたくさんの笑顔があふれています。
【自家製麺 縁らぁめん】
〒889-1201 宮崎県児湯郡都農町三ヶ月原1140-65
営業時間: 11:00~14:00
定休日: 日・祝(臨時休業あり)
TEL&FAX:0983-25-2788
都農町の移住に関するお問い合わせはこちらへどうぞ。
TOP TOP