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「この場所にいていいよ」っていうのが一番
2021.07.09
地域に暮らす人々が安心して集える場所があると嬉しい。とくに子どものことならなおさらそうかもしれない。全国的に「こども食堂」の活動が話題になっています。それは宮崎県も例外ではありません。もともとは貧困家庭の子どもたちを支援するためにはじまったものですが、今では地域住民が主体となって運営する、食堂の体を成した新しいコミュティであり、居場所として認知されてきています。「こども食堂」と名を冠してはいますが、地域の誰もが集うことのできる場所として機能しています。
自分たちの興味で動く れんげの会
もちろん、ここ都農町にもこども食堂はあります。その名も「れんげ食堂」。この食堂を中心になって運営しているのはボランティア団体であるれんげの会。

れんげの会は2012年に誕生しました。もともと、都農町内の各地区ごとにお茶会などサロンを開いていたメンバーが、自治体のボランティア講習を受けたことをきっかけとして、各サロンの代表者たちによって結成されました。シニア層を中心としたメンバーですが、「シニア」と呼称していいのか迷うほどのパワフルさ。

活動はれんげ食堂や、生活に困っている世帯へ無料で食材を届ける「つのんお福分け(こちらは社会福祉協議会や社会福祉法人、ボランティアとの連携事業)」、児童クラブや高齢者施設での訪問活動など多岐にわたり、2016年の熊本地震の際はボランティアとして現地を訪れています。
「活動の中身はもうなんでもあり。自分たちの興味で動いています」と話すのは会長の河野しげさん。おしゃべり好きで話題が次から次へと溢れていく。れんげの会の名前の由来はご想像の通り「蓮華(れんげ)」の花から。「蓮華の花って可愛いじゃない。ほら、うちらの会も美人さんばっかりじゃろ(笑)?」。
世代を超える架け橋 れんげ食堂
れんげの会のなかでも中心的な活動となっているのがこども食堂事業であるれんげ食堂。月に一度、子どもから高齢者まで幅広い世代が集い、交流が行われますが、現在は新型コロナウイルス感染症を考慮して、お弁当や食材を子どものいる家庭に配達しています。

れんげ食堂は子どもと高齢者といった離れた世代の交流を促すことを目的にはじまりました。現代の家族形態は子どもと親夫婦といった核家族が主流となっています。そうなると、おじいちゃん・おばあちゃんと離れて暮らしているため一緒に遊ぶ機会がありません。「家族や学校の先生以外の大人と一緒に何かをする経験がいいんじゃないかなって。一緒に交流させるとね、本当におもしろいの。子どもたちもいろんな大人や高齢者がいるって学ぶんですよ。厳しいおじいちゃんもいるし、優しいおばあちゃんもいるから」。
普段のれんげ食堂は調理をして、食べて、後片付けをするところまで、子どもも高齢者も一緒になって行います。れんげの会メンバーの長年の経験と知恵を子どもたちに教えていく。これまで、そばづくり体験や、かっぱ巻き体験などを行ってきました。子どもたちが調理をする姿からはそれぞれの個性が出てくるようで、たとえばそばづくりの場合、そばの幅が大きくなる子もいれば綺麗にそろえて切る子もいる。「下手でもいいのよって教えるの。するとね、子どもって喜ぶのよ。体を真っ白くさせながらそばをつくったり。やっぱり体験が一番いいのよ」。

上手にできるかではなく、やっていること自体を楽しみ、その楽しさを周りと共有する。新型コロナウイルスが落ち着いてきたら絶対にやりたいとソワソワするしげさんの姿がありました。
誰でも来てみらんね! SUZUKIHOUSE
しげさんの話を聞いているとあることに気づきます。それは「おしゃべり」がいかに大切であるか。そして、安心できる居場所があるかということ。「民生委員として一人暮らしの高齢者の家を訪ねるとね、みんな話をしたがっているのがわかるの。帰ろうとしても『もうちょっと』っていわれて1時間以上過ごしたり。話を聞いてくれる人が必要なんだなって」。昨今、「孤立」をどう防ぐかは社会的な課題にもなっています。

2021年3月にオープンし、れんげの会が運営を任されている多目的交流広場「SUZUKIHOUSE(スズキハウス)」もそうした考えを基礎としています。SUZUKIHOUSEは誰もが立ち寄ることができ、おしゃべりを楽しむことはもちろん、お悩み相談もすることができる何をしてもいい場所。しげさんは訪れる人が自由に過ごしてもらいたいと話します。
「この場所にいていいよっていうのが一番。おしゃべりする人もいていいし、ちょっとご飯を食べたいって人がいてもいい。極端な話、ここに来て何もしなくてもいいのよね。誰かと一緒にいたり、誰かとコミュニケーションをとる機会があることが大事。何もしない人たちもいるけれど『どうだった?』って感想聞くと『楽しかったよ』って。それでいいんじゃないかなって思うの」。

過ごし方が強要されることのない誰もが安心していられる場所。現在は高齢者が多く利用し、各自自由な時間を過ごしています。今後はれんげの会がこれまでやってきた体験活動をこの場所でやっていきたい、そして子どももいっぱい来て欲しいと話していました。

「家に閉じこもっているくらいならおしゃべりしにおいでよって。お茶飲んで帰ればいいわって。誰かと一緒に過ごしているうちに笑顔って出てくるものじゃないかしら」。
【SUZUKIHOUSE(スズキハウス)】
〒889-1201
宮崎県児湯郡都農町大字川北4753-8
開所日:水・金
開所時間:9:00~15:00
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