#暮らしのこと
新たな取り組みで、人が育つ町へ
2021.06.30
町に人を呼ぶために、どうすればいいのか。
今、地方自治体の多くは人口減少や後継者不足といった課題を抱えています。地域振興のためにさまざまな動きが全国各地で見られますが、問題解決の足掛かりをつかむのは一朝一夕にはいかないようです。そんななか、都農町では地域活性化に向けて新たなプロジェクトがはじまっていました。キーワードは「アス農」という、ちょっと聞き慣れない言葉。いったいどのような活動なのか、現地でお話をうかがってきました。
今、地方自治体の多くは人口減少や後継者不足といった課題を抱えています。地域振興のためにさまざまな動きが全国各地で見られますが、問題解決の足掛かりをつかむのは一朝一夕にはいかないようです。そんななか、都農町では地域活性化に向けて新たなプロジェクトがはじまっていました。キーワードは「アス農」という、ちょっと聞き慣れない言葉。いったいどのような活動なのか、現地でお話をうかがってきました。
スポーツからはじまる地域活性化
訪れたのは、国道10号線沿いに拠点を構える一般社団法人ツノスポーツコミッション。介護福祉施設だった場所をそのまま活用しているという建物は、どこか懐かしいような、温かい雰囲気が漂っています。
今回、代表理事の石原英明さんと、農業班の小松原駿さんにお話をうかがいました。
今回、代表理事の石原英明さんと、農業班の小松原駿さんにお話をうかがいました。
2019年に設立されたツノスポーツコミッション。きっかけは、2013年に都農町ではじまった「蹴1-GP(KERI-ONE GRAND PRIX)」というサッカーのPK大会だったそう。
「PKの大会なんですが、子どもたちからお年寄りまで、いろんな人が参加して、ものすごく盛り上がったと聞きました」。石原さんはその蹴1-GPの成功から、都農の風土はスポーツと相性が良いのではないかと語ります。
都農町では毎年、他県に出て行った人たちもわざわざ参加しに里帰りするという「都農神社夏大祭」が行われます。祭りの花形は、けが人が出てしまうこともあるというケンカ太鼓台。大勢で担ぎ上げた太鼓台でぶつかり合うという激しい行事なのですが、競り合うことを全力で楽しむ姿、そしてその文化は確かにスポーツへの情熱と重なるように思います。
「PKの大会なんですが、子どもたちからお年寄りまで、いろんな人が参加して、ものすごく盛り上がったと聞きました」。石原さんはその蹴1-GPの成功から、都農の風土はスポーツと相性が良いのではないかと語ります。
都農町では毎年、他県に出て行った人たちもわざわざ参加しに里帰りするという「都農神社夏大祭」が行われます。祭りの花形は、けが人が出てしまうこともあるというケンカ太鼓台。大勢で担ぎ上げた太鼓台でぶつかり合うという激しい行事なのですが、競り合うことを全力で楽しむ姿、そしてその文化は確かにスポーツへの情熱と重なるように思います。
カルチャーを掛け合わせることで生まれるもの
スポーツを起点として始動したツノスポーツコミッション。とはいえ、その活動はスポーツに留まらず多岐に渡ります。活動の鍵になるのは、人を呼びこむこと。ツノスポーツコミッションに所属する地域おこし協力隊の方々が中心となり、労働力対策、移住・定住対策、情報発信など、都農の活性化のためにさまざまな動きを展開。また「ツノスポーツアカデミー」というプロジェクトでは、サッカーのユースチームを育成し、若者が移住してくれるような環境づくりに取り組んでいます。
若い人たちがチャレンジを後押ししてもらえるような空気をつくりたい。そのような環境づくりも、外から人を呼ぶことにつながります。
石原さんは、人を呼ぶことで新しいもの・新しい事業が地域に生まれ、町に根付いていくと語ります。「見えているニーズだけでなく、まだ見えていない、本当に必要なものは何なのかを常に考えながら動きたい」。
新しい派生が起こるのは、カルチャーが交わったとき。石原さんと小松原さんは本が大好きで、インタビュー中しばらく読書の話題で盛り上がりました。スポーツと本は意外な組み合わせに感じられるかもしれませんが、都農町民図書館ではサッカー選手のオススメ本を紹介する取り組みを行っており、こうした「文化の交流」は絶対に必要だとおっしゃっていました。
若い人たちがチャレンジを後押ししてもらえるような空気をつくりたい。そのような環境づくりも、外から人を呼ぶことにつながります。
石原さんは、人を呼ぶことで新しいもの・新しい事業が地域に生まれ、町に根付いていくと語ります。「見えているニーズだけでなく、まだ見えていない、本当に必要なものは何なのかを常に考えながら動きたい」。
新しい派生が起こるのは、カルチャーが交わったとき。石原さんと小松原さんは本が大好きで、インタビュー中しばらく読書の話題で盛り上がりました。スポーツと本は意外な組み合わせに感じられるかもしれませんが、都農町民図書館ではサッカー選手のオススメ本を紹介する取り組みを行っており、こうした「文化の交流」は絶対に必要だとおっしゃっていました。
アスリート × 農業 = アス農
午後は小松原さんに案内してもらい、ツノスポーツコミッションの農業班が2021年からはじめたプロジェクト「アス農」の現場へやって来ました。
住宅街のあいだに広がるその場所は、黒々とした土が畝(うね)をつくる見事な畑です。手前にはトマトがたくさん育っていて、もう収穫できそうなほど赤く実っている株も。小松原さんに品種をうかがうと、一つひとつ教えてくださいました。
「こっちはサンマルツァーノリゼルバ、奥にあるのがシシリアンルージュですね。加熱するとおいしくなると言われていて、加工向けのトマトなんです。家でトマトソースなんかをつくるときに使ってもらえたらなと思っています」。
そこへヴェロスクロノス都農のサッカー選手たちが練習を終えてやって来ました。見事な畑ですが実はしばらく休耕していた場所だったそう。農家さんのご厚意で借りることのできたその場所を野菜栽培ができるように立派に耕し直したのが、彼らアスリートたちでした。
今回のキーワードである「アス農」、これはつまりアスリート × 農業のことなのです。
農家の人たちからは心配されたと言います。「露地栽培ではトマトは上手く育たないかもしれない」。そんな声もあるなかで2021年2月からスタートしたアス農。6月の取材日に目にしたトマトの茎は、サッカー選手たちの背丈も追い越すほどに成長していました。
ほかにも野菜を育てる予定で、今はバジルやキュウリなどを育てはじめているそうです。
住宅街のあいだに広がるその場所は、黒々とした土が畝(うね)をつくる見事な畑です。手前にはトマトがたくさん育っていて、もう収穫できそうなほど赤く実っている株も。小松原さんに品種をうかがうと、一つひとつ教えてくださいました。
「こっちはサンマルツァーノリゼルバ、奥にあるのがシシリアンルージュですね。加熱するとおいしくなると言われていて、加工向けのトマトなんです。家でトマトソースなんかをつくるときに使ってもらえたらなと思っています」。
そこへヴェロスクロノス都農のサッカー選手たちが練習を終えてやって来ました。見事な畑ですが実はしばらく休耕していた場所だったそう。農家さんのご厚意で借りることのできたその場所を野菜栽培ができるように立派に耕し直したのが、彼らアスリートたちでした。
今回のキーワードである「アス農」、これはつまりアスリート × 農業のことなのです。
農家の人たちからは心配されたと言います。「露地栽培ではトマトは上手く育たないかもしれない」。そんな声もあるなかで2021年2月からスタートしたアス農。6月の取材日に目にしたトマトの茎は、サッカー選手たちの背丈も追い越すほどに成長していました。
ほかにも野菜を育てる予定で、今はバジルやキュウリなどを育てはじめているそうです。
最初に畑にやって来たサッカー選手の北川滉平さんと川満陸さんは、トマトの脇芽を取る作業をしながら楽しそうに話をされていました。彼らの「アス農」活動はYouTubeの「つのおこチャンネル」で視聴することもできます。アスリートたちが農業に関わることで、文化の交流が生まれる。今まで眠っていた土地に農作物が実っていることだけでも素敵なことですが、セカンドキャリアの選択をするときにも役立つようにとの想いがあるそうです。
その後合流したほかの選手たちも、誰かの指示を待つことなく自然な流れで役割を決め、それぞれの作業に没頭していきます。
真剣に手を動かしながらも、ときおりジョークが飛び交って笑いが起きる光景に都農の明るい未来を感じました。
真剣に手を動かしながらも、ときおりジョークが飛び交って笑いが起きる光景に都農の明るい未来を感じました。
【一般社団法人ツノスポーツコミッション】
〒889-1201 宮崎県児湯郡都農町大字川北1142-1
TEL:0983-32-0137 FAX:0983-32-0138
https://peraichi.com/landing_pages/view/tsuno-spo/
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