#仕事
都農町から世界へ 職人たちの思いが支えるムーブメント
2020.12.14
近年、世界中のお酒好きのあいだで注目されているジャパニーズウィスキー。
国内では続々と新しい蒸留所が誕生するなど、その勢いは増すばかりですが
実はこの勢いを都農町から支える企業があるのをご存知でしょうか?
日本で唯一の樽づくりを行う有明産業株式会社 
今回足を運んだのは有明産業株式会社さん。
ウィスキーの熟成にかかせない樽をつくっている国内唯一の独立系メーカーです。

その歴史は古く、昭和38年に京都府で一升瓶用の木箱の製造を行う会社として創業。
昭和59年にウィスキーブームが起きたことや、焼酎を洋樽で熟成した商品が出はじめたことが
きっかけで洋樽の製造をはじめました。
都農町に工場を置くことになったきっかけはさまざまありますが、決め手になったのは
先代の社長の奥様が都農町出身だったこと。
よく知る土地柄と風土が、職人たちの環境や樽の製造に適していると感じたのでしょう。

会社に到着すると工場長の永友さんが工場の中を案内してくれました。
工場を見学していてとても驚いたのが、樽の製造工程がほとんど手作業だということ。
樽の製造工程は12工程もあり、もちろん機械での作業が必要なところはありますが、
職人たちは1つの重さが100キロもある大樽をコロコロと転がしながら
樽をつくっていきます(この樽、実際にコロコロ回せるか試してみたんですがびくともしませんでした……)。
どの作業も経験とスキルが求められるため、樽職人は日本に50名しかいないのだとか。
「国内の50名のうち、19名はうちの会社にいるんですよ」と永友さんは語ります。
職人の手から手へ
写真右:髭がトレードマークの奥平さん  写真左:趣味はお菓子づくりと女子力高めの有岡さん
続けて工場を見学していると2人の職人さんを紹介してくれました。

お話を聞いてみるとどうやらお二人は知人の紹介がきっかけで働くことになったのだそう。
「工場見学で大きな樽に火入れをしていく工程を見て、大きな火柱が上がる光景にすごく驚きました」
「樽をつくるって普通の仕事じゃできない仕事だなぁって思いましたね」と奥平さんは笑顔で語ります。
有岡さんも入社して間もないころ火入れの工程をしたときは、慣れるのに時間がかかったのだそう。

今日の2人の作業は樽の蓋をはめ込むための溝を側板に掘っていく作業と、酒詰用の穴を開けていく作業。
樽の内径を測り、専用の機械に樽をセットして数値を打ち込んでいくと自動で溝が切りこまれていきます。
単純な作業に聞こえがちですが、木材にはそれぞれ特製があるため見極めながら溝の数値を決めます。
「浅い分には修正が効くんですけど、深く切り混んでしまったらもう樽としては使えないんです」
「廃棄になってしまうんですよ」と奥平さん。
有岡さんと「これはアウトやね」「次はこうしてみよう」と相談をしながら作業を進めていきます。

何度も試行錯誤を繰り返してようやく樽は次の工程へ、職人達の手から手へとバトンが渡り、
完成した樽は九州内で樽貯蔵を行う酒造メーカーさんや国内でウィスキーづくりを行う職人のもとへと
渡っていきます。
都農町からムーブメントを
有明産業では、日本を代表するミズナラやヤマザクラなどの国産木材を使った樽の製造を行ったり、九州管内の酒造メーカーさんたちとコラボレーションし、焼酎を樽で熟成した「TARUSKY(タルスキー)」と呼ばれる新ジャンルのお酒を開発するなど樽の製造だけではなく、新たなムーブメントもつくろうとしています。実際にミズナラで貯蔵されたお酒を香りだけ楽しみましたが、ミルキーで蜜っぽい甘さの香りでした。スコットランドのウィスキー、オールドプルトニーに近いような・・・と少々マニアックなるくらいテンションが上がりますし、この香りを生み出す樽が都農町で作られていることに驚きます。

最後に永友さんに有明産業さんの今後の展望をお伺いしてみました。

「今後は都農町の中心地でもある道の駅の付近に工場を移転しようと計画中で、新工場では工場の見学や樽酒の販売をこれまで以上に積極的に行っていくことで地域とお酒の業界を盛り上げていきたいですね」。

その表情にはこれまで培ってきた職人としてのプライドと野心が垣間見えて、聞いてるこちらもなんだかわくわくしてきました。新工場ができたら「ぜひとも計り売りもやってください!」とお願いすると、「いいですねぇ〜」とお互いに新工場への夢が膨らみます。
職人たちの夢が詰まった新工場計画とこれから都農町で巻き起こる新たなムーブメントに期待大です。
[DATA]
【有明産業株式会社】
宮崎県都農工場〒宮崎県児湯郡都農町大字川北1948-2
※現在工場見学は新型コロナウィルス感染拡大対策の為休止しております。
再開の時期につきましては公式ホームページをご確認ください。
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