#暮らしのこと#食べる
人生を耕し変化を楽しむ。都農からはじまるトランジション
2023.09.07
人生は変化に富むもの。自らの意思によるものもあれば、外的要因によるものもある。人生におけるいくつものトランジション(移行・変化・転換)は、その人の生き方に厚みを与える。どうせなら、自ら変化のきっかけをつくり、多様な人々と出会い、仲間を集い、手の届く範囲で社会を変えていきたい。自然と調和した無理のないリズムで。
食から社会を考える。 足るを知る暮らしの実践
東九州自動車道のすぐ近く、都農町と川南町の境界線である名貫川沿いのとある一軒家。ここで暮らす山口次郎さん・昌美さん夫婦は2022年に熊本県阿蘇郡高森町より移り住みました。
福岡県出身の次郎さんと都農町出身の昌美さん。2人は「じろう畑とまさみの食卓」という農園名でさまざまな野菜を育てています。季節野菜に加え、落花生や里芋に大豆、さらには小麦などなど。自家採取、あるいは有機栽培の種を使い、農薬・化学肥料・除草剤は不使用。
出荷することが前提ではなく、基本的に自分たちが食べたいと思うもの、自身のライフスタイルに合うものを小規模な範囲で育てる。余った野菜は自宅ではじめたファームスタンドやマルシェでの直売のほか、加工品として道の駅やWebショップで販売するなどロスが出ないように努めています。
福岡県出身の次郎さんと都農町出身の昌美さん。2人は「じろう畑とまさみの食卓」という農園名でさまざまな野菜を育てています。季節野菜に加え、落花生や里芋に大豆、さらには小麦などなど。自家採取、あるいは有機栽培の種を使い、農薬・化学肥料・除草剤は不使用。
出荷することが前提ではなく、基本的に自分たちが食べたいと思うもの、自身のライフスタイルに合うものを小規模な範囲で育てる。余った野菜は自宅ではじめたファームスタンドやマルシェでの直売のほか、加工品として道の駅やWebショップで販売するなどロスが出ないように努めています。
机や台車など、日々の生活、農作業に関するものは次郎さんが試行錯誤しながら手づくりする。食べ物も道具も身の回りのものは自分たちで賄う。山口さん一家はそんな自給自足的な暮らしを送っています。
「食に対して強い関心を持ったことがきっかけにあります。食べ物って、身近なところでは自分の健康、大きな事柄では貧困や教育、エネルギーなどすべての社会問題に根っこのところでつながっているんです。自分たちで食べ物をつくり、日々の食事を大切にしていけば、社会問題の解決につながっていくのではないかと思っています」(次郎さん)
現在の暮らしに至る背景には次郎さんの生い立ちも関係しているようです。
「食に対して強い関心を持ったことがきっかけにあります。食べ物って、身近なところでは自分の健康、大きな事柄では貧困や教育、エネルギーなどすべての社会問題に根っこのところでつながっているんです。自分たちで食べ物をつくり、日々の食事を大切にしていけば、社会問題の解決につながっていくのではないかと思っています」(次郎さん)
現在の暮らしに至る背景には次郎さんの生い立ちも関係しているようです。
出会いは先入観を取り払い、豊潤な時間を生む
幼いころから植物や動物が好きだった次郎さん。「将来は何か動植物を育てる暮らしがしたい」と考え、高校卒業後に大学の農学部へ進学します。ただ、大学で学ぶ農業のあり方に疑問を感じ、独自に見聞を深めようと20代はさまざまな農家のところへ住み込みで働いていました。
同時に生活の一部でもあったサーフィンの縁で奄美大島、和歌山など各地を転々。宮崎で暮らしていたころに昌美さんと出会います。
その後はNPOや市民活動への参加、永続可能な農業を基礎とした人間と自然の共生関係を築く「パーマカルチャー」との出会いを通じ、農と食の実践の場を持とうと南阿蘇地域へ移住。現在につながる自給自足の田舎暮らしをスタートさせます。
同時に生活の一部でもあったサーフィンの縁で奄美大島、和歌山など各地を転々。宮崎で暮らしていたころに昌美さんと出会います。
その後はNPOや市民活動への参加、永続可能な農業を基礎とした人間と自然の共生関係を築く「パーマカルチャー」との出会いを通じ、農と食の実践の場を持とうと南阿蘇地域へ移住。現在につながる自給自足の田舎暮らしをスタートさせます。
「僕はなんでも自分でやっちゃうタイプだけど、一人だけだと変化は起きない。農業の傍ら、催しを企画して運営するうちに、自分と同じ想いを熾火(おきび)のように持っている人たちとつながっていきました。今ではそんな友人たちが全国にいて、彼らと一緒に善い社会をつくっていけたらなと思っています」(次郎さん)
農作業の手伝いの代わりに宿泊場所を提供するWWOOF(ウーフ)にもホストとして登録。年間10〜15人ほどを受け入れ、海外の方も多く訪れました。
「阿蘇にいたころは家族に加えて常に海外の方が1〜4名いる暮らしでしたね。言葉も文化も違う方たちとの生活は新鮮なことばかり。子どもたちも“みんな違ってみんないい”を肌で感じていたんじゃないかな」(昌美さん)
あらゆる背景を持った人々との交流は先入観をなくし「違い」を楽しむことにつながる。このときの体験は自分たちよりも子どもの成長に大きな影響を与えたと2人は振り返っていました。
農作業の手伝いの代わりに宿泊場所を提供するWWOOF(ウーフ)にもホストとして登録。年間10〜15人ほどを受け入れ、海外の方も多く訪れました。
「阿蘇にいたころは家族に加えて常に海外の方が1〜4名いる暮らしでしたね。言葉も文化も違う方たちとの生活は新鮮なことばかり。子どもたちも“みんな違ってみんないい”を肌で感じていたんじゃないかな」(昌美さん)
あらゆる背景を持った人々との交流は先入観をなくし「違い」を楽しむことにつながる。このときの体験は自分たちよりも子どもの成長に大きな影響を与えたと2人は振り返っていました。
トランジションの積み重ねの先、オリジナルな人生
都農町へ移ったあとも阿蘇での暮らしを引き続き実践。これまで住む場所も人との交流も、さらには就労環境もたびたび変わってきましたが、その生活を支えたのは次郎さんがある雑誌の取材で口にした「変化を楽しむ」という言葉でした。
「はじめはこの言葉に『ええ!?』とびっくりしたのを覚えています。いろんなことが変わるのって不安じゃないですか。この言葉は結婚当初に聞いたものですから、私もその変化に着いていくのか…と不安にもなりました。ですが、同時に変化そのものを楽しめたら私の人生も楽しくなるのかなって思ったんです。それ以来、次郎さんの言葉が頭の片隅にいつも浮かぶようになりましたね」(昌美さん)
もちろんストレスがないわけではない。しかし、おもしろい人との出会いが増え、結婚してから謳歌できることが増えたといいます。
「新しい環境にあっても重い腰を上げて一歩踏み出すといい出会いがありますね。最近ではマルシェに出店したときに移住されてきたシェフの方と知り合ったりと」(昌美さん)
「はじめはこの言葉に『ええ!?』とびっくりしたのを覚えています。いろんなことが変わるのって不安じゃないですか。この言葉は結婚当初に聞いたものですから、私もその変化に着いていくのか…と不安にもなりました。ですが、同時に変化そのものを楽しめたら私の人生も楽しくなるのかなって思ったんです。それ以来、次郎さんの言葉が頭の片隅にいつも浮かぶようになりましたね」(昌美さん)
もちろんストレスがないわけではない。しかし、おもしろい人との出会いが増え、結婚してから謳歌できることが増えたといいます。
「新しい環境にあっても重い腰を上げて一歩踏み出すといい出会いがありますね。最近ではマルシェに出店したときに移住されてきたシェフの方と知り合ったりと」(昌美さん)
「若いころは何かに対してすぐ結果がほしくなるけれど、年齢を重ねるとそこに価値がなくなっていく。それは農業とか自然と一緒に暮らしはじめて学んだことですね。今の僕らのこの生き方は誰にも真似できないオリジナルなもの。その土台があるから余裕が生まれるし、今やりたいことに集中できますね」(次郎さん)
次郎さんの今の関心は都農の環境に合わせ農業のスキルを上げることと新たなコミュニティを築いていくこと。
「僕がアクセルでね、昌美さんがブレーキなの」と話す山口さん夫婦の都農暮らしはまだまだはじまったばかりのようです。
次郎さんの今の関心は都農の環境に合わせ農業のスキルを上げることと新たなコミュニティを築いていくこと。
「僕がアクセルでね、昌美さんがブレーキなの」と話す山口さん夫婦の都農暮らしはまだまだはじまったばかりのようです。
【じろう畑とまさみの食卓】
〒889-1201
宮崎県児湯郡都農町川北8042-32
TEL:090-8830-9139
Instagram:@jiro1970
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宮崎県児湯郡都農町川北8042-32
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