#食べる
スイーツに宿る美しさ。20代若手パティシエが都農町で挑む
2022.09.22
おいしい料理やスイーツ、香りのいいドリンク。ゆっくりと一人でくつろいだり、友人たちと過ごしたり、はたまた商談が行われたり。カフェにはあらゆる人々がやってきて思い思いに過ごしている。そんなカフェに憧れて開業したいと思う人は多い。けれど、開業やお店を続けていくためには超えなければいけないハードルもある。都農町には今、“チャレンジカフェ”を活用し、飲食店経営を学ぶ一人の若者の姿がありました。
BUNMEIチャレンジカフェ 3代目チャレンジャー
都農町にある多世代交流サロン「文明|BUNMEI」。黄色いカラーが特徴的なこの建物の1階には、BUNMEIチャレンジカフェが設置されています。BUNMEIチャレンジカフェでは、町内創業者の育成を目的として、チャレンジャーが実際にカフェ運営をすることで飲食店経営を学び、人的ネットワークを構築して起業しやすい環境をつくる支援が行われています。
現在、このチャレンジカフェに挑戦しているのは小野喜敬(よしたか)さん。喜敬さんは宮崎市の出身で、2022年4月に都農町へやってきました。以前は宮崎市内の著名なパティスリーでパティシエとして働いていました。

喜敬さんはBUNMEIチャレンジカフェの3代目チャレンジャー。前任の方の業務を引き継ぐかたちで、週替わりランチやお弁当、スイーツづくりを主に行っています。
(ランチ例)鶏のへべすクリーム煮と都農町産の野菜をふんだんに使ったサラダとスープ
(スイーツ例)ぶどうのタルト
喜敬さんがBUNMEIチャレンジカフェへ挑戦しようと思ったきっかけには、自分が理想とする土地で働きたいという思いがありました。

「将来、自分のお店を持ちたいと思っています。主力はお菓子で、余力があればランチも提供するカフェのような空間をつくりたいと。僕はカフェが好きなのですが、市街地の中心にあるような人と人との距離が近くて賑やかな場所よりも、ゆったりできて周りを気にせずくつろげる場所のほうが合っていて。それこそ都市部から離れた田舎の古民家カフェのような空間が好きですね。そう思うと都農町のような緑豊かな場所は、すごく魅力的だったんです」。

都市部にはないカフェの魅力を「ちょっと遠いところから、その場所を目がけてやってくる人たちがいること」とも。都農町産の新鮮な野菜、そして果物を使ったランチやスイーツをぜひ町外の人にも口にしてほしいと話します。

喜敬さんはスイーツ畑出身ということもあり、料理やデザートの味はもちろん、その盛り付け・見た目には相当なこだわりをお持ちのようです。
「味だけでなく、目で楽しめるものってすごくいいなと思っています。その形や彩り、自分にとって見た目は外せない。たぶん僕がこだわる理由には、ケーキをはじめ、お菓子をつくって販売してきた経験もあると思います。お菓子はショーケースに何十種類と並んでいて、だいたい見た目で選ばれていきますから。本当に綺麗なケーキは、本当に綺麗なんです。そうとしか表現できない美しさがあると思います」。
パティシエだからできること。新業態での挑戦
スイーツには料理と異なる美しさがある。そう語る喜敬さんの美意識は、すでに専門学校時代に培われていました。それを物語るエピソードがあります。

市内のパティスリーに勤務する前、喜敬さんは宮崎調理製菓専門学校へ進学し、洋菓子を専門に、和菓子と製パンの技術を1年間学びました。その期間中、地産地消をテーマとした「風・土(フード)プロジェクト スイーツ部門」に応募。見事、優秀賞を獲得します。

このときにつくったのはムースケーキ。素材には日向夏、へべす、マンゴーといった宮崎の特産品を使い、アクセントにミントを活用。コンテストのテーマを聞いたとき、すぐに構想が浮かんだといいます。完成したムースケーキは、その見た目こそシンプルで、余計な飾りがなく表面が光沢した美しいものでした。

「周りに比べると浮いていたかもしれませんね。今ならもうちょっと装飾しているかも(笑)」と笑っていましたが、当時からすでにスタイルが確立されていたとも取れます。
BUNMEIチャレンジカフェはこの10月より営業形態を変更し、これまで提供していたランチ・お弁当をやめ、スイーツのみの販売へ移行します。喜敬さんのパティシエとしての力が存分に発揮される空間へ変わることでしょう。

「お菓子を食べることよりも、つくるほうが好きなんです。食べてくださった方から『おいしい!』って反応が返ってくるとすごく嬉しいんですよ」。

インタビューの最中、喜敬さんはパティシエになる原点のことをそう語っていました。
誰かのためにつくるお菓子、誰かを喜ばせるお菓子。喜敬さんの美学が詰まったお菓子たちが、これからチャレンジカフェで展開されていくとなると、都農町内の人々が羨ましくも思えてきます。

喜敬さんの挑戦はまだまだはじまったばかり。今後の挑戦に目が離せません。
【BUNMEIチャレンジカフェ】
〒889-1201 宮崎県児湯郡都農町川北4831-2
TEL:090-1896-6526
Instagram:@bunmeichallengecafe
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