#暮らしのこと
コーヒーの香りで憩いの駅へ
2022.05.02
2021年10月にオープンしたJR都農駅のセルフカフェをみなさんご存知でしょうか?
駅構内にカフェスペースが設置され、テーブル席で挽きたてのコーヒーをゆっくり飲めるようになっているんです。
町の玄関口として100年以上の歴史を誇る都農駅がはじめた新しいサービス。オープンしてから数ヶ月経ちましたが、ここでは今、どのような光景が生まれているのでしょう。都農駅を管理している都農町観光協会さんにお話をうかがってきました。
駅利用者の声から生まれたセルフカフェ
写真・三島優里さん
今回お話してくださったのは、都農町観光協会の三島優里さん。
大正10年に開設された都農駅は、平成29年に現在の新駅舎へと建て替えられました。その際、駅構内に都農町観光協会の事務所が入ることになり、以降駅の管理も担当されているそうです。

新しくセルフカフェができたのは、駅舎内待合室横のコミュニティスペース。何かきっかけはあったのでしょうか?

「電車で来られた町外の方から『次の電車を待つあいだ、座ってコーヒーを飲めるところがあったらいいのに』というお声を何度かいただいていました。駅周辺にそういったお店がないんですね。このセルフカフェが設置されたことで、都農駅がただ通り過ぎる場所じゃなく、ホッとひと息ついてもらえるような場所になったらと思っています」。

駅というと通過点のイメージがありますが、ひと休みできるスペースが用意されることで、利用者が滞在しやすくなりそうですね。

またカフェスペースの入り口には、都農町に関するパンフレットをはじめ、都農駅の歴史をたどる資料展のアーカイブをまとめたファイルもありました。この資料展は、町民の方の協力の元都農駅100周年を記念してコミュニティスペースで開催されたもの。展示風景のほか、来場者のメッセージノートも残っているのですが、駅の思い出や鉄道への愛、故郷に対する気持ちなどが手書きで綴られており、盛況だったイベントの熱をそのまま感じることができました。電車を待つあいだ、興味深く読んでしまいそうです。
遠方から訪れホッとひと息、町の人は楽しい雑談タイム
オープンして5ヶ月ほど経ちましたが、セルフカフェはどのような使われ方をしているのでしょうか。

「スーツ姿の方がパソコンを開いていたり、キャリーケースを提げた方が座って休憩しているのをお見かけします。『見て!コーヒー飲めるとこあるよ!』という声が聴こえてきたときは嬉しかったですね。仕事や観光以外でも、毎週、お友達とのひとときに利用される方々がいらっしゃってありがたいです。コーヒーを飲まない方でもそんな風に気兼ねなく利用してほしいですね。駅でくつろいでもらいたいです」。

遠方から訪れた人も、町に住む人も、それぞれの目的を持ってセルフカフェに立ち寄っているようです。ほかにも、長机の席で勉強をする学生や、待ち合わせで利用する子どもたちを見かけることもあり、三島さんは「都農の子どもたちに、駅で過ごした思い出が残れば嬉しいです」と笑顔でおっしゃっていました。

また、電車に乗る機会がないという人でも、都農駅の駐車場は無料で開放されています。ドライブの途中に立ち寄って、駅舎の中で休憩するのも良さそうですね。

コイン式セルフカフェには詳しい利用方法が掲示されています。メニューにはコーヒー・カフェラテ・エスプレッソ・アメリカンがあり、コーヒーとカフェラテはHOTとICEを選ぶことができました。もし操作がわからない場合は、ベルを鳴らすと観光協会の方々が対応してくれるので安心です。さらに、ドリップマシーンの横では都農町でつくられた焼き菓子なども販売。カフェで食べるのはもちろん、お土産に買って帰っても良さそうです。
駅から繋がっていく流れに期待
最後に、セルフカフェのビジョンについてうかがうと、駅だけでなく都農町の観光全体へ話が広がっていきました。

「駅から町の観光地へとつながるような、流れができていくといいなと思っているんです。やっぱり車で来られる方が多いのですが、せっかく美味しい都農ワインもあるし、電車で都農駅に訪れてくれる方も増えたらいいなと。ただ、電車で都農駅まで来たあと、さあここからどこかへ行こうとしたときにまだまだ不便かもしれない。町を周遊したいときは車じゃないと難しかったりするので……都農駅周辺でイベントをするとか。移動手段の選択肢を増やせないかとか。これからいろいろと考えていきたいです」。

地方では車社会が当たり前となり、日常生活で駅を利用する人が減少しています。日々の通勤などで使おうとすると、どうしても電車の本数が少ないので不便さは否めません。

しかし、三島さんとお話して盛り上がったのが、電車の旅の楽しさ。車窓から眺める水平線や自然の景色が、日豊本線はよそに負けないくらい美しいのです。この旅の楽しさをイベントやレジャーといった町の観光につなげていくことができれば、利用者が増えていくのではないでしょうか。そこから駅周辺に賑わいが生まれることも期待されます。

都農駅のセルフカフェは、町を訪れた人にとっても、町で暮らす人にとっても、ホッとひと息つける憩いの場所。人びとが駅に立ち寄る理由として、今後も大きな役割を果たしそうです。
【都農町観光協会】
〒889-1201
宮崎県児湯郡都農町大字川北3604-7 都農駅構内
TEL:0983-25-5712
都農町の移住に関するお問い合わせはこちらへどうぞ。
TOP TOP