#子育て情報
「ちゃんとしなきゃ!」を手放し生まれた私の流儀
2022.04.09
私たちは何に対しても「こうでなければいけない」という思いに囚われがち。当たり前と思っていたことも、実は日々なんとなく行っていた習慣に過ぎなかったりと。仕事、家事、育児、どの場面もバランス良くやれたら…と思う人は少なくないでしょう。今回、都農町で出会ったある農家さん。彼女のお話は日々を自分のペースで過ごすためのヒントとなるかもしれません。
農家だからこそ、おしゃれでいたい
その人は踏切の向こうから、軽のワンボックスカーに乗ってやってきました。大きなメガネとアウトドアスタイルがかっこいいその姿は、私たちの抱く典型的な農家のイメージとはちょっと違う。初対面にもかかわらず、出会って早々から快活に喋る姿に場が和んでいきました。

薄田里実さんはニラを中心に、干物用の大根や玉ねぎなどを生産する農家です。宮崎市で生まれ育った里実さんは都農町出身のご主人と出会い結婚。ご主人が実家の農業を継ぐことをきっかけに家族で都農町へ移り住み、自身も農業を手伝うようになります。それまで9年間就いていた保育士の仕事とはまったく異なる世界。とはいえ、野菜を育て、販売していくうちにおもしろさに目覚めていくのでした。

「薄田(すすきだ)」と初見では読むことが難しい苗字を逆手に取り、「すすきださんちの新鮮野菜」という販売シールを考案。野菜も農園も、そして里実さん自身も周りから認知されるようになり、購買者がSNSに「#すすきださんちの新鮮野菜」とハッシュタグのついた投稿をするなど、都農町を超えた広がりを見せています。
「固まった常識みたいなものが嫌で、常に何か違うことをしたいなって気持ちがあります。格好も農家だから決まった服装をしなきゃいけないのではなく、農家だからおしゃれでいたい。農家だからネイルがダメってこともない。おしゃれをしたほうがやる気が出ますし、褒めてもらえると嬉しくて頑張ろうって思えますから」。
仕事も子育てもマイペースに
そんな里実さんは3人の子どもを育てるお母さんでもあります。子育てと仕事の両立は働く女性たちにとって常に課題となるもの。年齢も個性もバラバラな子どもたちと日々接しながら仕事をする里実さんですが、そのバランスを保つ秘訣はマイペースさにあるといいます。

「すべてをこなそうとすると苦しいですよね。仕事も家庭のことも無理なく私のペースでやる! と決めてからは楽になりました 」。

自身のことをハマり込みやすい性格だと話す里実さんは、農業のおもしろさに惹かれて以降、新しい野菜の栽培や無人販売所をはじめてみたりと次々に「やりたいこと」に着手していきます。ただ、一時期はそうであるがゆえに子どものことを考えていなかったとも。
「ちょっと待って! 夢中になるのはもう少し先でもいいんじゃない? って思ったんです。子育てはあっという間に終わるって聞きますし。上の子は中学生、真ん中はやや反抗期も入ってきて、一番下の子はまだ4歳。その子どもたちの『今』をちゃんと見ておきたいんです。子育てに後悔はしたくないなって。だから農業にのめり込むのは少し控えようと思って、最近は栽培する品種も絞っていますね」。

今しかできない子育てに注力する。それは決して我慢ではなく自分の気持ちと折り合いをつけた結果。義務から子育てをするのではなく、今体験しておきたいこととして捉え直す。そのバランス感覚が里実さんのマイペースさをつくり出しているのかもしれません。
大切な人たちに支えられ、今がある
軸がしっかりして頼もしく見える里実さんですが、当のご本人は「私、ネガティブですよ。これまでも周りの人々に支えられてきました」と話します。

里実さんにとって、とくに親友の存在は大きいようです。高校の同級生で「なんでか知らない」けれどずっとつながっていて、お互いに刺激し合う存在。生活の変化もあり20代で疎遠になるも、30歳を目前にしてまた会うように。喧嘩もするし、いいたいことはいう。それでもお互いが気持ちに寄り添い、尊敬している。

「彼女は宮崎市でお花屋、私は都農町で農家。今は年に数回会えるか会えないか。会えるときは2人で思い切り遊ぶんですよ。センス抜群でサプライズ好きな彼女はいつも私を楽しませてくれる。私がネガティブなときは、とにかくおいしくて超ポジティブな店主のいるお店へ連れて行ってくれたり。ここで気持ちをリセットできるから、毎日頑張っていられる。いい関係ですよ」。
人とのつながりはコロナ禍にあって、より実感するそうです。
感染症の流行により、いつも野菜を卸していた販売所が閉鎖されたときのこと。行き場を失った白ネギに困っていた里実さんですが、それを聞きつけた親友が自分のお店で販売してくれることに。95袋のうち数時間で85袋が売れ、さらにはそのネギを食べた人が後日収穫体験にやって来ました。

また、有志の力を得てつくった自宅前の直売所はSNSを通じて知られるようになり、連日野菜を求めに人が訪れています。

「町外からわざわざ来られる人もいるんですよ。販売所の裏で作業していると『今日は何があるのかな』って様子をうかがう姿が見えるんです。顔が見えるのっていいなと思って」。
身近な人々に支えられ、信頼できる人には弱みを見せ、一緒につくり上げてきたものによって新たな人との出会いが生まれる。「まだまだやりたいアイデアがある」と話す里実さん。彼女は今日も農業と子育てをマイペースに楽しんでいます。

【ススキダ農園】
野菜は道の駅つの、直売所、ポケットマルシェ等で主に販売。
最新情報はInstagramより。
Instagram:@moetmi0911
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